向かいの家で、騒音大会が始まったのが、ちょうど私のミンダナオ滞在から帰宅した頃なので、かれこれ2ヶ月近く経ちます。騒音大会なんて大袈裟に書いてますが、要するに向かいの家のオーナーが代わって、リノベ工事が始まったということ。
以前のオーナーは、夫が「サトウさん」という日本人。ただしかなり高齢だったようで、若いフィリピン人妻にお金だけ出して家を建てて上げたはいいけど、結局一度も住むことなく他界したらしい。私も会ったことがありません。
その若かった奥さんも、娘が高校を卒業するぐらいなので、すっかり中年女性。その後再婚して、いろいろ商売をやってたようなんですが、コロナ禍やらがあってお金に窮して、結局は前夫の遺産である家を売っぱらってしまった次第。
実を言うと、このオバさんはかなり迷惑な隣人でした。元々山間部の出身らしく、フィリピンの田舎の人あるあるで、頻繁に親戚を呼んでの大宴会。それが週末の深夜に及び、閑静な住宅地の真ん中で下手なカラオケはガナる。養鶏業を営む新しい旦那さんが来てからは、庭で大量の雄鶏を飼って、喧しいことこの上なし。
せめて敷地の周囲に壁でも作ってくれればマシなものを、お金がないので庭が剥き出し。その庭も手入れもせずに放置して、完全にジャングルに戻っている有様。さらに、そこから出る落ち葉で焚き火をするもんだから、風向きによっては、こちらにも煙もくもく。もう、これ以上はないというほど迷惑千万なので、出ていってくれてホっとしてます。
問題は、次のオーナーがどんな人物かというところ。さすがに600平米ほどの家付のロットを買ったぐらいなので、それなりに裕福で、おそらく前のオーナーよりはマシだろうと思います。ただ差し当たって困っているのは、リノベ工事の騒音。
まず工事は、ジャングル状態の雑木の伐採から始まりました。これが丸三日間チェーンソー使いまくり。ただ切り倒すだけじゃなく、運び出しができるように、細かく切断するのですごく時間がかかります。その間、脳みそを掻き回されるようなエゲつない騒音。
それが終わったと思ったら、チェーンソーほどではないけれど、グラインダーやらハンドドリルの轟音。それだけなら、我慢するしかないと諦めもつきます。ところが、わざわざデっかいスピーカーを持ち込んで、朝から夕方までディスコ並みの大音量BGM。フィリピンなら珍しくもないとは言え、ここはサブディブジョンとかビレッジと呼ばれる、それなりにお高い高級住宅地。宅地のルールでも「大音量の音楽は禁止」となっています。
極め付けは、ステイ・インつまり工事の敷地内に住み込みの大工さんなので、夜も音楽流すんですよ。それだけでなく、カラオケまで始める始末。これはアカんやろ。
この手のトラブルは初めてではなく、向かいとも裏とも両隣とも、一通り揉めてきた移住13年目の私。こういう時は、外国人である私が直接文句を言うと、確実に相手が感情的になって大喧嘩になるので、今回は、メイドさんや家内、二人が不在の時は、宅地のガードマンに頼んで、音楽を止めるか音量を下げるように「お願い」してもらいました。
ツラいのは、ただうるさいだけでなく、家内が私の不快感をまったく理解してくれないこと。他のことに関しては、日本とフィリピンの感覚差をあまり感じたことがないし、なかなかのインテリの彼女。むしろフィリピン人離れしている性格のはずが、騒音に関しては、以前から平行線なんですよね。
それでも苦情申し立ては効果的で、少なくともその日のうちは、音楽「だけ」は静かになります。ところが、学習能力がないのか、記憶力が希薄なのか、翌日から数日後には同じことの繰り返し。仕方がないので、こちらも同じ対応。どうやら、ずっと同じ大工ではなく、メンバーの入れ替わりがあるようで、イタチごっこが延々と続く有様。
それにしても、一から建て直すわけではないのに、ずいぶんとチンタラ仕事やってますね。時々観察してみると、頭数が多い日は、とかく私語が増えます。それも、まるで酔っ払いの集会か?というような大声で怒鳴り合っているみたいに。音にダラシ無い大工は、あまり技能も高くない感じ。あるいは日当仕事で、長引けば長引くほど、手取りが増えるのかも知れません。冗談みたいですが、日曜日まで出てきてるのを見ると、案外これは当たってる気が。
ということで、そろそろ乾季に入り、晴天が続いて暑くなってきたネグロス島。間の悪いことに、工事現場の真正面に私の書斎があるので、日中は締め切ってエアコン使うしかありません。壁は仕上げ段階なので、せいぜいもう2〜3週間程度でおしまいなんでしょうけど、とにかく一日も早く、以前の静けさが戻ってほしい。騒音に対してだけは、私のフィリピン移住で持った、後悔に近い感情です。